法人向けブロックチェーン交流会に学ぶ、コミュニティ運営の勘所
法人向けブロックチェーン交流会に学ぶ、コミュニティ運営の勘所のニュース解説イメージ

ニュースの概要

11月19日に、国内最大級をうたう法人向けブロックチェーンビジネスコミュニティ「N.Avenue」のイベントが開催されると、ニコニコニュースが伝えました。ブロックチェーンを使った事業に関心を持つ企業が集まり、事例の共有や情報交換、提携先探しを行う場として位置づけられています。技術そのものを学ぶ講座というより、事業をつくる人同士が出会う場である点が特徴です。ブロックチェーンは話題の波が何度も来ては引いてきた分野ですが、企業が個別に試す段階から、横のつながりで知見を持ち寄る段階へ移りつつあることを示す動きといえます。

引用元: 【11月19日開催】国内最大級・法人向けブロックチェーンビジネスコミュニティ「N.Avenue(ニコニコニュース)

分析・見解

技術の話題から、人が集まる場の話題へ

ブロックチェーンは、これまで価格の上下や新技術の名前ばかりが注目されてきた。だが今回のニュースの中心は、技術ではなく「法人が集うコミュニティ」である。これは分野が成熟してきたサインと読める。

新しい技術は、最初は一社の実験で終わりやすい。次の段階では、他社がどう使い、どこでつまずいたかという生の情報が価値を持つ。その情報は検索しても出てこない。人が集まる場でしか流れないのである。

企業が交流の場に求めているもの

法人コミュニティの価値は、大きく三つに分けられる。第一に、失敗談を含めた事例の共有である。公式の発表資料には成功しか載らないが、懇親の場では「この契約の書き方で止まった」といった具体的な話が聞ける。

第二に、提携先の発見である。ブロックチェーン事業は、システム開発、法務、会計、監査と、複数の専門家がそろわないと前に進まない。一社で全部をそろえるのは難しく、出会いの場そのものが事業の部品になる。

第三に、社内を説得する材料の入手である。「他社も動いている」という事実は、稟議(=社内の承認手続き)を通すうえで強い根拠になる。

大きさを競うコミュニティが抱える弱点

「国内最大級」という言葉は参加者を集める力を持つ。一方で、規模が大きくなるほど、一人ひとりの関心はばらける。製造業の人と金融の人が同じ部屋にいても、話がかみ合わないことは多い。

これは他のオンライン・オフラインのコミュニティでも見られる傾向だ。DiscordやSubstackで成功している集まりは、人数よりも「共通の問い」がはっきりしている。大規模な場の下に、業界別や課題別の小さな部屋を作れるかどうかが、長続きするかを分ける。

もう一つ、見落とされがちな視点がある。コミュニティの価値は、イベント当日ではなく、その前後の連絡で決まる。名刺交換で終わるのか、翌週にもやり取りが続くのかで、成果は大きく変わる。

これからの見通しと、冷静に見たい点

今後、ブロックチェーンは「見えない部品」として他のサービスに組み込まれていくだろう。証明書の真正性確認、取引履歴の共有、権利の管理といった地味な用途だ。こうした用途は派手さがない分、企業同士の地道な合意形成が欠かせない。

そのため、規格や運用ルールを話し合う場としてのコミュニティの役割は、むしろ増えると考えられる。ただし、集まること自体が目的化し、事業化に至らない「勉強会止まり」のリスクも残る。参加の数ではなく、そこから生まれた取引や実証の数で測る姿勢が必要である。

ビジネスへの影響

参加する前に目的を一つに絞る

この種のイベントに参加するなら、事前に「何を持ち帰るか」を一つ決めておきたい。たとえば「同業他社の実証事例を三件聞く」「法務面で詳しい相談相手を見つける」といった具合だ。目的がないと、名刺の束だけが残る。

担当者一人で行くより、技術担当と事業担当の二人で参加するほうが効果的である。同じ話を別の角度で聞けるため、帰社後の社内説明も説得力が増す。

自社でコミュニティを作る側に立つ場合

顧客や取引先との場を自社で運営する企業にも、学びがある。最初から大きな集まりを目指さず、共通の課題を持つ十社程度から始めるほうが、会話の質は保ちやすい。

また、イベントの後に何を送るか、誰が声をかけるかを、開催前に決めておくことが肝心だ。運営の負担は当日より事後に重い。担当者を置かずに始めると、半年で止まる例が多い。

成果を測る物差しを先に決める

経営層に説明するときは、参加人数ではなく「商談につながった件数」「実証を始めた件数」を指標にするとよい。数字が出ない場合は、場の選び方か参加の仕方を見直すサインである。年に一度は、続けるか、別の場に移るかを判断する機会を設けたい。

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